第83話「さてさて、お墓の問題」 [お見送り期]

その1:2016年秋「お墓を選ぶ、いろいろ迷う」

秋風が吹く頃になると、色々な事が大分落ち着いてきました。
そうなると次は「お墓をどうしようか」と言う問題に直面しました。
お墓に関しては、墓守になる弟に一任していたので
手続き等の詳細事項はここでは省き、簡単な流れだけ
お話します。

まずは、お墓選び。
先祖代々お世話になっているお寺に
「土地に空きがありません」と断られた我が家でしたが
そこのお坊さんに「同じ宗派で、新しく作られた霊園がある」
と、住宅地にある墓地を紹介されました。
そこは家からも近いし、綺麗だし、なかなか良い雰囲気です。
しかし問題は少し狭い上に、管理費などが高いことでした。

迷っていると、今度は抽選に応募していた
新しく出来た公共墓地に、当選したと言う便りを受けました。
その墓地は開拓途中の山の頂にありました。
見学に行くと、広々としていてとても綺麗です。
山の周辺は住宅地なんですけど、義妹がつい
「海とかが見えてもおかしくない位、綺麗な風景ですね」と
口にするほど素敵な場所でした。

広くて安くて綺麗…しかし唯一「交通の便が悪い」のが難点です。
そこは私たちが住んでいる土地とは別の街にあり
しかも山の上です。出来たばかりなので交通がまだ
整っていない状態でした。受付の方に問うと
「近い将来、バスが通るようになる…と思います」と言う
見立てでしたが、それまでは墓地の最寄り駅からタクシーで
片道1500円程かかる距離でした。

災害時のお墓.jpg

更にちょうどその頃、大型台風が関東地方に直撃しました。
幸か不幸か偶然か、その時いきなり今まで受信した事が
無かったその街の「災害警報メール」が、私の携帯に入りました。
見ると「××地区は土砂崩れの危険があるので避難してください」
と書いてあります。
ここって…お墓がある山の場所じゃない!?

うーん、お墓とは一生の大きな買い物。
いや、一生どころか、もしかしたら何百年も先まで続く
買い物かもしれません。
「お天気や陽気が良い時ばかりではなく、雨や台風、
もしくは大雪などの場合もシュミレーションした方が良いかも」と
この時、感じました。
あとは色々な人の話を聞く事も、参考になるかもしれません。

お墓みんなの意見.jpg

結局、色々な紆余曲折を経ましたが
幸いもう一つ近場の公共墓地が当たったので
そこに決めました。


その2:2017年1月「そして納骨の日」

1月末の良く晴れた寒い朝、無事にお墓が完成したので
親族が集まって納骨の儀を執り行いました。

何でも新しかったり、一番が好きだった父。
ピカピカの真新しいお墓です。きっと喜んでいるだろうと思います。
私はこの時初めて知ったのですが、お骨はカロート(納骨官)の
手前に入れるものらしいです。奥の方に押し込めてしまうと
手前にもっとたくさんお骨が入るので、新しい死者を
呼び寄せてしまうのだとか。
迷信だとは思いますが、こういう儀式にはきっと色々な
験(げん)があるのでしょう。

(近所の方が「もしお骨を奥に入れられたら、直してもらいなさい」と
教えてくれたのですが、さすがに石屋さんは心得ていて
ちゃんと手前に置いてくれました)

新しいお墓に対する開眼供養(お性根入れ)のお経や
納骨の一連の式が終わった後、お坊さんが言いました。
「亡くなった方は修行の旅に出られます。生きている方も
この世でまだやるべき事が残っています。
お遍路参りには『同行二人(どうぎょうににん)』と
言う言葉がありますが、皆さんと縁があるこの仏様は
これから先も、皆さんの傍にいらっしゃいます。
辛い事があった時はその辛さを半分に
喜び事があった時は喜びを倍に、そうやっていつも
見守って下さいます」と。

そうですね、そうかもしれない。
私達の介護は終わったけれど、人は死んだら
それで終わりではないのかもしれません。

その後は簡単な会食へ。
色々と不慣れな作業もひとまず終わり、ホッと一息ついたのも
束の間、今度は次第に「あれ、なんかおかしい?」と…。
なんだかこの食事会、料理の量が多くない?

私の隣に座っていた年の近い従兄弟とも
「料理の品数けっこう多いね。お腹いっぱいになってきちゃったよ。
もしかして間違って来てたりしてね~」とか
「だとしたら、あの『南京饅頭』って料理がボリューム満点だったから
あれが怪しくない?」とか、そんな冗談で盛り上がります。
しかしそんな中、いきなり支配人らしき男の方が
「スミマセン」と言いながら入ってきて…。

どうやら本当に、料理を一品多く間違って持ってきて
いたらしいのです。
「それじゃあ、それは父からのプレゼントという事で」と言う形で
その場は丸く収められたのですが、再び従兄弟と
「一体何が余分に多かったんだろう?」と、あれこれ考えます。
結局、間違って来たモノはそんな豪華な品ではなく
ましてや疑いをかけられた『南京饅頭』でもなく、
単にシンプルな酢の物なのでした。

納骨の日.jpg

振り返ってみると介護を巡る日々は「えっ!?」と思う様な
不測の事態がたくさんありました。
そして我が家の場合は、最後の最後までこんな状態でしたが、
果たしてどこのご家庭でも、こんなに色々な事が
頻繁に起こっているのでしょうか?
それとも…うちだけ?

でもいずれにしても、賑やかな事が好きだった
父らしいかな、とも思います。


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